王立宇宙軍 オネアミスの翼

紹介・レビュー

 あのガイナックスの結成の目的はこの作品を作るためにあった…という伝説の作品、『王立宇宙軍』。恐ろしいまでのクオリティ、作り込み、リアリティ…しかも物語としての面白さも超一流という非の打ちどころのない作品です。

 独自の言語、記述法まで制定し、とことんこだわった設定によって突き詰めたリアリティは本当に素晴らしい物がありました。坂本龍一のBGMも効果的でしたし、映画独特の作画の細かさも際だっておりました。

 何よりの圧巻はやはり庵野さんの原画によるロケット発射シーンでしょうか。液体水素と液体酸素で極低温まで冷やされ、氷結したロケットが打ち上げられる時に、無数の氷片がロケットから零れ落ちていく…それを一枚一枚手描きで作画した氏の力量は圧倒的です。実際のロケットの発射音はとうてい劇場のスピーカーなどでは表せない、その表現としての一瞬の無音は今なおはっきりと私の記憶に残っております。

 日本アニメにおいてあの当時の技術の極にあったと言えるのがこの作品でしょう。

 ただし予算面でも実は極にありまして…今は亡きおたくウィークリーでも述べられているとおり、三億あれば絶対に使い切れないと言われていたアニメ業界であっさりと十億使い切ってしまい、その借金を返すために解散するはずだったガイナックスを続けざるをえなかったとまで言われております。そのおかげでナディア、トップ、そしてエヴァまで出来たとなれば日本アニメにどれだけ貢献したか分かりませんが、関係者にとっては悪夢だった事でございましょう(笑)。

人の山田様が見てる

凉武装商隊 since 1998/5/19 (counter set:2004/4/18)