『十五少年漂流記』をモデルにしたSFアニメです。
地球から43光年離れたイプザーロン星系第三惑星クレアド。地球人類はこの緑溢れる無人の星に入植を開始しました。しかし宇宙考古学者、クレーク博士はそこで明らかに知的存在の残したと思われる遺跡を発見します。彼は民間人の入植を一時保留するように進言しますが、軍は全く聞く耳を持ちませんでした。
破局は突然に訪れました。異星人の機動兵器が第一ステーションを襲撃したのです。圧倒的な戦力の前にまたたく間に壊滅していく地球軍。ここに来て軍は必死の防衛戦を展開し、一人でも多くの民間人を脱出させようと奮闘しますが戦力の差は絶望的でした。
入植者の子供であるロディ達は学校にいる時に攻撃を受け、なんとか空港にたどり着き、シャトルで脱出します。しかし軌道上の第二ステーションにたどり着いた時には他の民間人はほとんど脱出しており、残された監は練習艦ジェイナスだけでした。さらに敵の攻撃が第二ステーションを襲い、ジェイナスの艦長もジェイナスにたどりつくこともできずに戦死します。
わずかな大人と子供たちを載せて緊急発進したジェイナスでしたが、そのジェイナスにも容赦なく襲いかかる敵の攻撃!わずかな軍人達はその身を投げ出してジェイナスを守り、散っていきます。
彼らの犠牲のおかげでなんとか攻撃を躱したジェイナスでしたが、その時には大人たちは数えるほどしか生き残っていませんでした。しかもその後の戦闘で大人達は次々と死んでいき、最後に残されたのはクラーク博士と助手のケイトのみ。
悲劇は続きます。ついに博士、そしてケイトまで失い、後には13人の子供達が残されました。最年長のスコットでさえも15歳。彼らはそれでも絶望することなく、先に脱出したはずの家族と再会するため、生き延びるために地球へ帰ろうとします。
リアルな宇宙戦闘の演出と丁寧な子供たちの心理・生活描写が光る逸品です。特に生活の描写がすばらしいですね。子供達しかいない中での宇宙船の生活がとても丁寧に、そしてコミカルに描かれています。
マルロとルチーナのお母さん役を一所懸命に果たそうとして、でも耐えきれずに泣き出すクレア。そりの合わないカチュアとペンチ。互いのお尻に蒙古斑があることを知って仲良くなるジミーとケンツ。倉庫でエロ本を見つけてほくそ笑むロディとバーツ…。
彼らは、客観的に見ればかなり悲惨な状況にあるにもかかわらずとても生き生きとしています。思えば子供の頃、こういう環境に置かれればやはり私たちも楽しんだでしょう。親に会いたいと泣く夜もあるでしょうけれども、解放感に浮かれる日もあったのではないでしょうか。そんな感情を見事なまでに表現しているのが本作です。
アニメで一番何が好きか、と聞かれたら私は『うる星やつら』でも『エヴァンゲリオン』でもなく、この『バイファム』をあげます。もし子供がいたりしたら絶対に見せたい作品ですね。
最近『バイファム13』としてリメイクらしきものが放映されているようですが、どうも出来のほうは今一つのようです。今度ビデオを借りて見てみるつもりですが、その評判が間違っていることを願うのみですね。
追加
最初の何話かで挫折しました。いつかまた頑張るかなー…。
人の山田様が見てる
凉武装商隊 since 1998/5/19 (counter set:2004/4/18)